NHK俳句2月号「嚏」で佳作をいただきました。

ちょっと前ですが、 2021年『NHK俳句』2月号 小澤實選で佳作をいただきました。


「日本沈没」閉じて嚏(くさめ)や浜の上


嚏(くさめ)は、くしゃみのこと。言わずもがな小松左京の小説を読み込んでみました。Netflixでも『日本沈没2020』が公開されていて、イッキ観したときくらいにつくった句です。(以前いただいた佳作の句もアニメきっかけだった…)日本沈没という、日常の隣にあるような世界を描く物語の没入感。読後に発した嚏が、読む人を現実へと引き戻します。(でもそこは、地上と海岸の境目である浜の上)


だいぶ前に『100分de名著』でとりあげられていたのをきっかけに、はじめて小松作品に触れました。読んだのは『ゴルディアスの結び目』くらいですが。正直、ずっとSFには興味がなかったのですが、(なんかハリウッド映画のようなイメージがあって)今と全くちがう常識で構成される世界に設定することで、人の倫理観を揺さぶる感じがすごくおもしろいなーと思っています。


『日本沈没2020』も、もう一人で観るに限るって感じの鬱なストーリーで、けっこう賛否両論あるようなのですが、私としては観てよかったなと思っています。また地震も増えていますが、平穏な日常って、もういつ崩れるかわからない。そんな世界に生きていて、いったん秩序がなくなったとき、個人は、社会はどうなるのかというひとつのシミュレーションを見ることができる。みんな自己中心的だし、ビジュアル的に素敵な登場人物もいないし、簡単に人が殺されていく。そのヒリヒリが、やはりほんとうなのでしょう。

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